色々


水曜日、バイト中に直人君が来た。
「今日、バイト終わってから会えない?」
すごく微妙な気持ちだった。
夜、直人君と会うってことは、きっと抱かれる。
これで元に戻ってしまったら、結局私はまた直人君のことで傷つく。
何も変わらない。


・・・。
断ろうと思って、バイト終わってから電話した。
でも、電話越しに、寂しそうな声。
駄目だった。
めったに寂しさなんて見せない直人君。
だから、彼に寂しそうにされたら、私はすごく弱い。


車を走らせて直人君の家まで行った。
お風呂を借りて、ほんの少しお酒を一緒にのんで、
直人君の部屋にあがる。
ベットで、ぎゅって抱きしめられる。
すごくすごく久しぶりの直人君の体温。どきどきして泣きそうだった。
でも、ここで身体を許したら、駄目だ。


キスをしようとした直人君を私は拒む。
ねむ「私たち付き合ってないじゃない。だからもう身体の関係はもたない。」
ねむ「身体だけの関係なんて嫌だよ。私自身を求めてほしい。ずっと放置されてて、身体だけなんてひどいよ。」
涙がボロボロでる。とまらなかった。
直人君は、私が泣いてることで、すごく戸惑ってる。


直人君「放置したことは、悪かったよ。でも、友達とのことも、わかってほしい。」
ねむ「わかってるけど、でも連絡くらい・・・してほしいよ。」
直人君「今度から、気をつけるから・・・。」
ねむ「でも、どうせ私なんて、付き合ってもないし、ずっとずっと後回しの存在なんだよ。」
直人君「・・・。俺にとっては、付き合ってるとか付き合ってないとか、関係ない。言葉なんてどうでもいいことなんだよ。俺とお前の関係は変わらない。」
私にとっては、だいぶ違うよ。「直人君の彼女」って言葉で、すごく強くなれる。安心できるんだよ。


ねむ「・・・じゃあ、私を彼女にして。恋人にして。。」
直人君「・・・。」


直人君「わかった。今も昔も、ずっと、ねむのことは大切に思ってるから。」



ぼろぼろ泣きの私を、直人君は抱きしめて、
キスしてくれた。


私は、直人君の、彼女になったんだ。。


何度も、何度も、その後
「私は、直人君の彼女。直人君は私の恋人。」
って、確認した。
直人君は、笑って頭を撫でてくれた。


なんか、なんか、すごく理不尽な恋人への昇格だけど、
しかも、私から強引にって感じですごく嫌な感じだけど、
ぜんぜんロマンティックな雰囲気じゃなかったけど、
記念日とかでもなんでもない日だったけど、
でも、
私はすごくすごくすごく、嬉しかった。
「恋人」って言葉が、すごく嬉しかった。


これからどうなるのかわかんない。
また直人君は友達を優先して、私を放置する時だってあると思う。
きっと傷つくことだって、沢山ある。
でも、私は、直人君の彼女になれたんだから、
直人君の、大切な人になれたんだから、
頑張るよ。幸せになれるように。


恋人、昇格。
おめでとう、私!!