小さな唄


一人に なりたくて海に来た
潮の香りと輝く飛沫
ふと浮かぶ君のこと


なんでかな
雲一つない青空の下
曇った心は晴れない


本当は強くなんてないんだ
大人になんてなれないんだ
伸ばした手は風も掴めない
熱い日差しが瞼を焼いて
少し弱音を吐きたくなるよ
呟いた声は波音に消えた
君なら聞いてくれるかな


僕は一人で海を見てた
波の向こうに追いやっても
君の笑顔が離れない


なんでかな
夕日に赤く染まる一人の海
隣に君に居て欲しいのに


本当はただの強がりなんだ
苦しくて潰されそうなんだ
伸ばした手を冷たい波が打つ
潮風が瞳に痛くて
君の声が聞きたくなるよ
呟いた唄は夕焼けに消えた
君なら聴いてくれたかな


本当は強くなんてないんだ
苦しくて潰されそうなんだ
それでもこの手を伸ばし続けるよ
夜空に背を向けそろそろ帰ろう
潮の香りと君への想いと
この小さな唄を胸にしまって
この唄は君にだけ聴かせよう


いつの日か君に届くといいな


届かない  Little Love Song



――――――2005/05/03 Y.Mに捧ぐ